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2007年12月20日:キャプテンクッパの思い出

放送情報など諸々更新致しました.いろいろ後手後手でスミマセン.
というわけで,来年1月より再放送される「砂漠の海賊!キャプテンクッパ」ですが,この作品は現在のところ弊社最後のフィルム作品であり,同時に最初のデジタル作品でもあります.これは,とある事情で制作途中でデジタル制作に移行せざるを得なくなる事が原因なのですが,今回はその辺りの事情を書こうと思います.ちょっと長くなりますが.
アニメーション制作において,昔は絵の具で彩色されたセル素材をフィルムカメラで撮影していた工程が,近年では全てコンピュータ上で作業されている事は既知の通りです.弊社はどちらかと言えばフィルムアニメーション制作にこだわっていたプロダクションであり,デジタル制作化は業界内でもかなり遅い方であったと思います.
当初,セル・フィルム作品として制作が進んでいた本作ですが,制作中,撮影された映像の一部に原因不明の「揺れ」が発生する現象が頻出しました.これは文字通り画面に手振れのような不規則で微細な揺れが発生する現象で,このままでは番組として成立しません.撮影・現像・フィルムからビデオに変換するテレシネなど全ての行程で各社原因を探しましたが,原因を特定する事はできませんでした.しかし原因が判らなくても放送を遅らせる事は出来ない為,揺れが発生したショットに関しては再撮影,再現像が繰り返され,遂には10回以上撮影されたショットもありました.そうして第14話くらいまで制作が進みましたが,この時点でも原因究明は出来ずにいました.そして残りの制作予算の不足が予想され(映画用フィルムはすごく高価なのです),かつスタッフの疲弊も深刻化していました.そして遂に監督兼社長の真下よりデジタル制作移行が宣言され,当時別のチームでゲームのオープニングムービーを制作していた私が参加する事になりました.移行準備に与えられた期間は約1ヶ月で,解決すべき問題は山積していました.
まず最初の問題は,そもそも社内にアニメーション制作に耐えうるコンピュータがほとんど無い事で,急遽10数台のMacintoshを導入,転がっていたPCにLinuxをインストールし臨時にファイルサーバとするなど,デジタル制作の環境整備をかなり乱暴にでっち上げました.
そして中でも一番大きな問題は,監督を含め当時の社内スタッフにデジタルアニメーション制作の経験者がほとんどいない点でした.そもそも動画の描き方から色の塗り方,撮影の仕方,素材の受け渡しまでフィルム制作とデジタル制作では全く異なります.そこでメインスタッフを集めての講習が頻繁に行われ,シミュレーションが繰り返されました.また,現在ほどコンピュータが身近ではなかった時代なので,当然コンピュータをさわった事のないスタッフもいて,(大げさではなく)マウスの使い方から説明した事を覚えています.
最後に,フィルム制作とデジタル制作での質感・発色の違いを最小限に押さえる必要がありました.毎週続けて見ていて,「あれ,今週から何か画面の感じが違う」では番組として成立しません.線の質感など元々の動画の描き方から違うような,どうしても不可避な点はあるのですが,その違いを最小限に抑える為に色彩設計や撮影スタッフと,セル彩色・フィルム撮影の発色を再現するテストが繰り返されました.最終的にはフィルム制作と比較して,さほど違和感の無い画面を作り出す事ができた...と思います.逆に最終話の方になるとデジタルアニメっぽい表現が増えてはいくのですが...
というわけで,関係各所の協力のおかげで「砂漠の海賊!キャプテンクッパ」は第18話以降デジタル制作アニメーションになり,なんとか無事に放送を終える事が出来ました.そして,本作以降の弊社作品は全てデジタル制作になっていく事になります.
以上,もう8年くらい昔の話になりますが,社内でも知っているスタッフの方が少なくなった話です.
私個人としてはフィルム制作アニメーションの方が好きなので機会があったらまた作ってはみたいのですが,現状ではなかなか難しいようです.
ともかくそんな事情と関係なく,「砂漠の海賊!キャプテンクッパ」は純粋に子供向けの冒険活劇アニメーション作品です.キッズステーションを視聴できる方はぜひぜひお楽しみ頂けますと幸いです.